二ホンミツバチを巣枠で飼う

養蜂
巣枠②

今年の春から、二ホンミツバチを飼い始めました。


5月初旬に1群、7月初旬に2群目を、ハチ友の分蜂蜂球捕獲という形で譲り受け、最初の群は丸太+重箱のハイブリッド巣箱で、2群目はいわゆる「か式」という巣礎無し巣枠の巣箱に強制収容しました。

どちらも、真夏になるまでの様子はとても順調で、とくに丸太ハイブリッドの方は勢いが良く、7月までに4段の重箱を追加して、「秋ごろには採蜜できるねー」なんて話していました。巣枠の方も順調に交尾飛行を終え、巣礎無しの巣枠にも整然と造巣されていきました。

7月下旬には4段の重箱部分がほぼ巣で埋まった
自作のか式巣箱は、箱部分がサワラ、巣枠が杉と桧、すべて分蜂捕獲当日夕方に急遽プレーナーがけして作ったので木の匂いはプンプンしてたけど、無事入居定着した
横桟はホフマン式で、手押しカンナで加工、桟幅は32mmで、これが巣枠中心間距離となる
上桟は三角に加工して蜜ろうを塗った
入居から2週間で4枚の巣脾ができた

なんだ、二ホンミツバチ、楽勝じゃん。

そんな風に思っていた時期が僕にもありました・・・

順調にみえたミツバチたちが調子を崩したのは梅雨が明けて猛暑日が続くようになったころ。今思い返せば、明らかに故意に仕事をさぼってダラダラしてるハチが多かったように思えるんですが、その時は、ハチもこう暑いとさぼりたくなるよねーとか思ってました。

まさか、2週間かけて幼虫が全部羽化するのを待ってからの計画的逃去を企てていたとは全然思ってもみなかった。あのさぼりバチ達が逃去に向けて意図的に子育てを停止して、バカンスをとっていたとは・・・

8月初旬のある朝見てみると、丸太巣箱はもぬけの殻になってました。

貯蜜もすべて吸い取って出ていったようです
本来なら卵と幼虫の詰まった子育てエリアであるはずの最下段もスカスカ
今後のために巣脾の大きさのデータ採りなどをして、なんとか気を紛らわせた
転んでもただでは起きんぞ!

この丸太ハイブリッド群は、ハチの量はとても多く、巣門からあふれるほどでした。ハチの量を群れの健全度のバロメーターとするなら、超健全といってよかったはずです。先輩のハチ友さん曰く「めっちゃ順調」とのお墨付きももらっていて、万事滞りなしと思ってましたが、完全に油断していました。

逃去の原因はほぼ間違いなく今年の夏の暑さでしょうね。さぼりハチたちが目に付くようになったのは、梅雨明けの連日の猛暑日の頃と重なりますから。

逃去後に巣脾を観察してみてもスムシはほとんどいなかったし、近所の山では直前までアカメガシワや菩提樹が咲き誇っていたので、蜜源不足ということもなさそうだし。暑さ以外に要因があまり思い浮かびません。

二ホンミツバチの視点から見ても、最近の夏の暑さは、超健全群が木陰に設置された巣を捨てて新天地を求めるほどには異常なのでしょう。

巣枠式の方も逃拠未遂

丸太ハイブリッド群逃去事件から数日後、巣枠群の方を内検してみると、やはりこちらも子育てを放棄しつつあるような様子でした。

蛹はあるけど新生児があまりいないような感じ。数日前のある時点から子育てやーめたっと決めたような。さぼり感も丸太ハイブリッド群のそれっぽい感じだし。

完全にこれ、逃去企んでるよね?

そこで苦肉の策として、もし逃去したとしても女王バチは幽閉できるように巣門高さを4.2mmに狭めました。 4.2mmは、働きバチはやや窮屈だけど問題なく通過できる一方、女王は通れない高さです。女王が出てこられなければ、働きバチは巣に戻るしかないでしょ作戦です。

そしてその次の日の朝のこと、前日の内検が最終的な刺激となったのか、逃去決行となりました。僕の読みが的中したようです。

逃去はちょうど僕が巣箱の横を通った時に起こったので、一部始終をみていました。

ぽつ、ぽつぽつ、ぽつぽつぽつぽつ、どばばばばばーーーーーと、夕立の振りはじめみたいにハチが出てきて、しばらく雲のように周囲を飛び回った後、近くの柿の木に放球を作りました。

地上から4mほどの高さの横枝に蜂球になった

この時点で巣箱を横から見て確認すると、巣箱の中では、20匹くらいの雄バチと女王が出口を探して歩き回っているのが見えました。

そのあと僕らは外出の予定があり、この働きバチたちどういうふうに巣箱に戻っていったかは見ていませんが、夕方帰ってみてみると、しかたなく巣箱に戻ったハチ達が、渋々働いていました(笑)

女王幽閉作戦大成功!人間様を舐めてもらっちゃあ困らあ!

で、

それから2か月経過し、今も巣門高さは4.2mmのままですが、秋になり涼しくなってきたからか、はたまた人間様には逆らえないと観念したのか、子育ては再開され、ハチも増え、少しですが巣板も大きく成長しているようです。

現在の巣枠群
巣枠①
巣枠②
巣枠③
巣枠④
幼虫、蛹、卵、いずれも十分量ある感じ
蜜はちょっとすくないかな?
女王様はご健在であられる

二ホンミツバチ飼育初体験の今年。入居から逃去まで、だいぶ振り回されてきましたが、とりあえずこの巣枠群は順調に越冬準備に入れると思います。来年はこの群れから人工分蜂して3群くらいに増やしたい所存。巣枠で観察しながら徹底的に人工的に管理する二ホンミツバチもなかなか挑戦的で楽しい。

でもほんとは、丸太巣箱とか重箱巣箱で粗放的に飼って、気まぐれな彼女たちの逃去癖とかに振り回されていたいような気もするんだけどね(ドМかよ)

ただ、逃去の原因が単に異常な暑さっていうだけだと、それは逃去した先で新しい巣を造ったとしても、暑いのは同じなわけで、なんの解決にもなっていないんですよね。二ホンミツバチの易逃去性は、すくなくとも最近の異常な暑さに関していえば、マイナスにしかなっていないように見えます。逃去して数キロくらい巣を移動しても、いやおまえらさあ、そこもおなじくらい暑いからね!!っていうね。 むしろ、新天地で一から巣を造り直すっていう無駄なエネルギーは、ハチにとって暑さに輪をかけて負担になると思うのです。

だとすると、僕ら人間の方で二ホンミツバチの「暑い!せや、引っ越ししたろ」っていう本能をコントロールして、渋々でも、嫌々でも、一か月の間だけ暑さに耐えていただくのが、彼女たちの生存の助けになるのではと、女王幽閉作戦成功後、順調に調子を戻してきたハチ達の経過を見ていてそう感じました。

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