チートアイテムその2「ホゾ取り」

小屋建設

手刻みのセルフビルドといっても、全部を鑿やのこぎりでやるわけではなく、むしろ、ほとんどの仕口で何かしらの機械を使うことになります。

家づくりを全部手でやってたのは、たぶんもう50年以上前の話。

そしてそんな機械たちですら、今の家づくりではほぼ使われず、全然売れなくなっていて、廃盤になるものが相次ぎ、中古のやつもめっちゃ安くなっています。

日本の大工業界の行く末が心配です。マジで。

が、セルフビルダーの僕としては、機械が安いのはとてもうれしいことでもありまして、素人にしてはちょっと過剰なくらい機械をそろえつつあります。

だって、新品の20分の1とかで買えちゃったら、そりゃ買っちゃうよねって話ですもん。

例えばこれとか↓

これ、「ホゾ取り」といって柱のホゾを一発で作れる超絶チートアイテムなんですけど、

定価が52万円、新品小売価格がだいたい40万円のところ、中古でかなり状態のいいやつ(この個体はほんとにすっごい綺麗でほぼ使われてなかったみたい)をヤフオクで2万チョイでゲットしました。

型番はCT80FAってやつ。100V電源です。

この個体は1991年製なのだけども、モデルとしてはいまだに現行モデルで、4寸角の柱材にホゾを作るっていう作業に関しては全く問題なく使えます。(自動鉋にしてもそうだけど、材料が4寸角くらいなら、動力200V電源を入れる必要は全くないです。)

この機械、仕組みとしては、4枚の丸鋸が同時に回転してホゾを切るのだけど、単純にそれだけでも、普通の丸鋸より4倍の速度で加工できるわけ。

さらに、柱の寸法がどんなんでもホゾの位置は自動的に柱の芯に来るようになっています。(これは調整で色々変えられる。基本設定は芯)

で、個人的に一番助かるのが、縦挽きの二枚の刃がかなり正確に加工してくれることでして、手鋸でやるにしても丸鋸でやるにしても、ここまで正確な寸法で縦挽きをしてホゾを作るのはちょっと不可能な気がします。

そもそも、丸のこで縦挽きするってかなり怖い作業なんですよね。縦挽きだと丸のこ定規が使えなし、ベースの乗る面積も少なくて精度も出づらいし。

それをしなくていいってだけで、だいぶ心が楽なのです。

一方で、横挽きの刃に関しては、補助的な役割で使ってます。僕は。

なぜかっていうと、

胴付きの角度を完璧にするためには、材料のケツ側を乗せる補助ローラーの調整が超シビアになって、それがめっちゃ面倒だから。まっ平らなコンクリの土間みたいのがあれば話は別だけど、青空刻み場の砂利の上でその都度調整をするのはかなり大変なのです。

それなら、胴付き部分だけ丸のこであらかじめ切れ目を入れておいて、ホゾ取りは縦引きのためだけに大雑把に使って、胴付きは鑿で整えた方が早いしうまくいきます。

灰色の当て板の端がホゾ取りの横挽き刃の切れ込みの端になる。
なので、丸のこであらかじめ切り込んだ胴付きより3mmくらい右のとこを灰色の当て板に合わせるとこんな感じに切れる。
最後に、切れなかった隅のとこを鑿でとる。

写真と文章だけだと伝わりづらいかな?

まあでもとにかく、めっちゃ正確に、早く、安全にホゾを作れるのです。このホゾ取りっていう機械。

この機械のチートさは、使えばわかるはず。

ちょっとかさばるけど、中古相場は2~4万くらいだし、セルフビルドでも絶対買うべきアイテムだと個人的には思います。

ただ、

これが2万チョイで買えるって、ほんとちょっとおかしいっていうか、大工業界大丈夫なんか?って感じもしてます。

今は中古品が出回ってるからいいけど、あと20年もしたらそれもなくなってくるだろうし、かといって100Vのホゾ取りなんてとっくに廃盤になってて、メーカーの技術者も退職してて、もう新しく作れない状況になってそう。

複雑な心境ですねえ。

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