小屋の屋根を葺く ①墨付けをして唐草を廻す

小屋建設

GWごろにルーフィングシート敷設を終えてから早2ヶ月、屋根を葺く前に梅雨になってしまいました。

ええ、春の畑作業が楽しくなって、また小屋建築を放置気味にしてたのですよ・・・

まあ、このアスファルトルーフィングシートは割と高級な「ライナールーフィング」ってやつで、黒くて厚くて劣化しにくそうだし、シートをめくって確認したところタッカー穴からの雨漏りは皆無なようなので問題ない!・・・はずです。

とはいえ、流石にそろそろ屋根作業やらねば!っていうのと、屋根の材料が一週間前に到着したことで最近はやる気が復活してきました。

実際のところ、屋根作業に取り掛かるまでに2ヶ月も経ってしまったのは、五月中まるまる屋根の材料を何にするかで悩んでいたからっていうのもあります。

まず、瓦にするかスレートにするか板金にするかで悩んで、それから板金作業をセルフにするか外注するか悩んで、最終的に考えが煮詰まって、商店街のはずれにある板金屋さんに飛び込んで、

「あのー、僕、いま自分で小屋作ってんすけど、屋根材だけって出してもらえたりするのですかね?」

と恐る恐る聞いてみたところ、

「え、全然OKだよ!」

との答えをいただきまして、そこからは実寸図面提出→見積もり→色決め&発注まで割とトントン拍子で話が決まり、この前メーカー直送で材料が届いたというわけ。

今思い返すと、自分だけで考えるより、最初から板金屋さんに相談しておけばよかったわ。

というのも、日本の屋根業界、特に瓦と板金屋根に関しては、マジで材料の情報が全然ないのです。ほんと、どのメーカーのサイトを見ても、単価は全く書いてなくて、ホームセンターにも売ってなくて、完全なる闇なのよね。(楽天とかに出ている資材屋のものは単価が倍くらいするから気をつけて!)

板金はともかく、瓦の情報はマジで一個もないかんね。

これが今回瓦屋根を見送って板金屋根に決定した理由でもあります。

業界の閉鎖性に萎えたのですよ。

材料を選定する中で僕がいろいろ調べて知ったところによると、日本の屋根業界の通例として、見積もりや請求書は材料+工賃=「材工」でまとめて出すのが一般的らしく、施工業者てきには工賃でいくら抜いてるかバレると困るっていうのと、資材メーカーはそんな施工業者に忖度して材料単価を一般公開しないらしいのです。

こんだけインターネットが発達してて、日本語を扱う人間が1億人以上いるのに、瓦一枚の単価がわからないって、まじ闇深い、この業界。というか、材料費がわかったところでそれはそれ、工賃は工賃で職人さんが生きてく糧なのに、工賃の多寡に文句いう消費者が多いってのが一番終わってるんだよな。結局。

あ、

なんか愚痴っぽくなってすみません。

ま、そういうわけで、材料の単価が判然としないことが遠因で、屋根材の選定に手間取ったのです。

一方で、商店街の板金屋さんはその点、めっちゃ聖人でした。

アポなし飛び込みでも親切に相談に乗ってくれたし、材料単価もやんわり教えてくれたし、そもそも材料だけ出してくれるってこの業界じゃ超ファインプレーだしな。

それに、後々判明した話によると、この板金屋さんの社長、僕ら行きつけのカフェのシェフと地域おこしイベントでがっつり繋がってたり、彼女の家が昔経営してたテニスコートの常連さんだったり!意外と接点がありまして、今後とも付き合いが続きそうな良縁だったのですよ。

世間は狭い。そして地元の縁ってほんと大事。

そして飛び込みで聞いてみる勇気は一番大事かも。

材木屋さんも大工の師匠も、生コン屋さんも板金屋さんも、なんだかんだ言って自分の仕事が好きだから、飛び込みで聞いてみるとめっちゃ親切に教えてくれますし、素人だからって金額をふっかけてくる人はいなかったです。素人の小屋建築がここまで順調に進んだのは、みんなのおかげと断言できます!

屋根材はセキノ興産の立平ロック20型に決定!

前置きが長くなりましたが、その板金屋さんが常々付き合いがあるということで、小屋の屋根材はセキノ興産の立平ロック20型というガルバニウム 鋼板製金属屋根に決定しました。

働き幅は350mmで、板厚は0.4〜0.5mm、色は母屋のいぶし銀瓦に合わせ銀黒というのを選びました。働き幅に関しては、455mmというのもあるのですが、個人的に縦の線が細かい方がモダンかな?とか思ったりしてまして、350mmにしました。

板金屋さん曰く、350mmか455mmか、関西だと333mmか?の選択は、基本的に垂木の寸法に合わせて決定するらしいです。細い垂木に12mm合板でできた最近の家は、合板にビスを打っただけだと効きが悪いので、垂木のピッチに合わせて板金の働き幅を決め、ビスが垂木まで貫通するようにするんだって。

その点、この小屋の野地板は26mmの極厚板だからピッチはなんでもいいし、そもそも垂木ピッチが910なので垂木に合わせてどうこうすることはできないので、見た目重視で350mmにしたのですよ。

ちなみに、この金属屋根の原板はJFEスチールという大手鉄鋼メーカーのもので、セキノ興産はその原板を立平型にプレスして製品にしてる製品メーカーというわけ。

それが板金屋さんを通して発注され、うちに来ることになるのですが、縦平ロック本体はメーカー直送です。セキノ興産の工場で指定寸法×枚数でカットされてそのままメーカーのトラックで運ばれてきます。

じゃあ板金屋さんは中抜きだけなの?また闇なの?と一瞬思いますけど、そうではないの。

こういう役物部材は、板金屋さんの加工場で原板から加工するらしい↓

棟包と唐草

こういう役物は既製品もあるけど、作った方が安いらしい。

これにプラスして、けらば唐草に貼る防水テープとか、板金用ビスとか、エプロン面戸っていう防水用板金とかその他諸々の部品も必要な量を見繕って用意してくれました。至れり尽くせりです。

その他諸々の小物たち

これで税込20万くらいの見積もりでした。実際は笠木と呼ばれる棟包みの保持用木材などはうちで用意することになったので、請求は19万くらいになる予定。

屋根面積は56平米強なので平米あたり3500円くらいですかね。

楽天などで屋根材を扱う資材メーカーなどは、普通にこの3倍くらいで出してたりするから気をつけないとカモられるとこだったわ。

ほんと、いい板金屋さんに出会えてよかったー!!

施工開始。屋根の縁に唐草役物を廻していく

さて、材料が届いたところで、梅雨の晴れ間を見て、ルーフィングシートに墨付けをして、唐草と呼ばれる屋根の外周を縁取る役物から実際に施工をしていきます。

ほんとは、唐草の後に墨付けするのが本来の順番なんだろうけど、今回は奇跡的に、屋根の寸法がほぼ設計図通りに出ていて、角の直角も正確だったため、先に墨付けしてしまいました。

墨付けの手順としては、まずワイド方向の芯墨を出し、次にその芯墨から追って立平ロック本体左端の断面に当たるところに逃げ墨(みかけの芯墨)を打ち、その見かけの芯墨から追って左右に2100mm(働き幅350mm×6)と4200mm(350mm×12)の墨を出し、最後に本体一枚ずつの墨を350mmのバカ棒をあてがって打っていきました。

基礎の時と同じく、今回の屋根の墨付けもボッシュのレーザー距離計を使って距離を出しています。みかけの芯墨から4200mm>2100mm>350mm×6というようにだんだん細分化して墨付けすることで、ズレの蓄積を防ぐ作戦です。

屋根材一枚ごとの墨付けはすこし過剰なような気もしたのですが、数年まえに倉庫の屋根の波板を貼った時、少しのズレが蓄積していって、最後の一枚の収まりがすごい不恰好になった失敗経験がありましたので、今回は真面目に墨付けしました。

墨付けの後は唐草の施工ですが、この小屋は、野地板を張る段階で広小舞と廻り縁を水糸を用いてかなり慎重に施工したので、縁に沿って唐草をビス留めするだけで、直線を出したりはしていません。

ビスのピッチは400mmくらいでいいみたいですが、墨線が350なので350で打ちました。

注意点としては、軒先唐草はルーフィングの下、けらば唐草はルーフィングの上に来るってことくらいですかね。

軒先唐草はルーフィングの下
けらば唐草はルーフィングの上+気密防水テープ

軒先とけらばでルーフィングの位置関係が違うのは、水の流れを考えるとそうなるらしいのですが、初心者の僕はその辺りの原理についてはまだよくわかりません。一応、セオリーとしてはそうなっていますということです。人によっては逆の人もいるらしいし。

ルーフィングの下か上かの上下関係があるので、施工順は軒先が先、けらばが後になりまして、角の部分はけらば勝ちにしました。斜めに切って織り込んだりは特にしていません。

けらば唐草はルーフィングの上に来るため、アクリル系防水テープを貼り防水をしました。

防水テープを貼った後で見ると、けらば唐草がルーフィングの上に来る理由がなんとなくわかった気がしました。まあほんとになんとなくだけど笑

で、

ここまで施工して梅雨空が戻ってきたので、本体はこれからです。

下から見あげると、唐草が入っただけでだいぶシュッとした感じになりましたね。

これを見てセルフビルドのやる気がモリモリ戻ってきた気がしてます。

(それなのに最近梅雨が本気出してきて泣きたい・・・)

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