小屋の屋根を葺く ③立平ロック本体を葺く(前編)

小屋建設

前回、八千代折りの治具を作った日の午後から、その勢いのまま、本体の敷設に取り掛かりました。

作業の流れとしては、

棟に桟木をビス止め→桟木から軒先までの実寸を測定→測定した寸法をもとに、地上にて立平ロック本体を切断&八千代折り加工→荷揚げ→本体敷設→軒先キャップ取り付け&本体端部曲げ込み→棟包み→完成

という感じの、シンプルな流れ作業。

といっても、素人が56平米分の板金を半日で葺けるはずもなく、結局、作業を始めてから屋根を葺き終わるまでにまるまる2日半かかりました。

今回はその2日半の作業記録ダイジェストの前編です。

桟木をビス止めして、桟木から軒先までの寸法を実測

棟の頂部の木が桟木

いままでの僕のイメージでは、立平ロックのような既製品の場合、材料は工場で図面通りにカット済みで納入されて現場に納入されて、それをただ貼るだけみたいな感じなのかなと思っていました。

でも実際はそれとは真逆で、屋根板金の作業は、いまでもその大部分が、現場で採寸→切断というのが一般的なようです。

今回うちに納入された立平ロック本体もそうで、図面より150mm長い寸法で切りそろえられて配達されてきました。

そんなわけで、本体を貼る前にまず桟木(25mm×45mm)を棟頂部にビス留めし、桟木から軒先までの寸法を実測し、地上にてその寸法通りに立平ロックを切る、という作業をすることになりました。

今回は板金屋さんの教えを忠実に守り、ルーフィング上に本体一枚ごとの墨を出してありましたので、寸法も墨ごとに一枚分ずつ計り、紙に控えました。

が、測った後で見てみると、流れ寸法の誤差はせいぜい5mmほどしかなかったです。その5mmも唐草の重なる所の誤差という感じでした。

まあそれもそのはず、屋根板張りの段階で、水糸を使って広小舞をしっかりまっすぐに貼りましたからね。垂木の先っちょで腰が引けながらも丁寧に張った甲斐があったわー。

切断には、切断砥石を装着したディスクグラインダーを使いました。

金切バサミでも切れそうでしたが、それだと多分めっちゃ疲れると思ったので、最初っから文明の利器使用。

板金屋さん曰く、「グラインダーで切る場合、切断後すぐにブロワーで切り粉を吹かないとそこから錆びるから気をつけて」とのこと。確かに、切りっぱなしでそのまま雨ざらしにした練習用の一枚は、ポツポツと錆の点がくっついていました。

切断寸法は、軒先から桟木までの長さに、掴み代16mmと八千代折りの立ち上げ代16mmをプラスした寸法です。流れ寸法の誤差5mmは気にしないことにして、片側の27枚のうち、一番短い寸法を基準寸法として、ホワイトマーカーで墨をして切断しました。

ちなみに、このクソ暑い真昼の炎天下で作業したのには理由があって、グラインダーの火花がかなり明るいので、薄暗い夕方に作業すると、光のコントラストが大きすぎて、火花以外の全てが黒つぶれみたいになり、墨線がまったく見えなくなってしまうからなのです。

二人で荷揚げ後、立平ロック本体を貼っていく

西側から葺いていく

地上にて寸法通りに切断した本体は、その後、彼女が地上から持ち上げて手渡して、僕が屋根の上で受け取る形で、一枚ずつ人力で荷揚げをすることにしました。

3寸勾配といえども、板金みたいな滑りやすい素材を流れ方向に向けて重ねると、サササーって結構簡単に滑ってめっちゃ危険な感じがしたので、まず流れに対して直角に角材を設置し、その上に、同じく流れに対して直角に、10枚弱ずつ重ねて置いておくことにしました。

この立平ロックという屋根材は、メーカー発注時に右左どちらから葺き始めるかがあらかじめ選べるようになっていて、今回は切妻の北側・南側共に、右から葺く設定にしましたので、北側は西から、南側は東から葺き始めることになりました。(これは失敗だったとのちに発覚するのですが)

で、本体敷設の手順は次のような感じで、至って簡単な流れ作業になります↓

軒先唐草の端部に立平ロック嵌合部の端を合わせる。
40cmピッチでビス止め(若井産業の低頭ビス「ダンバ」を使用)
次の一枚を上にかぶせ、嵌合部に当て木をし、掛矢で叩き込む。以後この繰り返し。

嵌合部をはめる際、本職の人達は掛矢などは使わず、足で踏み込んで嵌合させるようなのですが、僕の体重が足りないのか、力のかけ方が悪いのか、足だといまいちうまくいかなかったです。

一方で、当て木して掛矢で叩くと、結構すんなり入りました。素人がするなら、当て木して叩くのが吉なようです。

鋼製外付け桟鼻を取り付ける

桟鼻という部品。嵌合部の軒先に取り付ける。

本体をすべて葺き終わったら、次は本体の嵌合部の軒先部分にある開口部をふさぐための部品を取り付けます。

嵌合式板金屋根は、その構造上、嵌合部の端からの水の侵入を防ぐ必要があり、 その部品を桟鼻というようです。

セキノ興産では、ガルバニウム製の外付け、ガルバニウム製内付け、樹脂製の3種の桟鼻が用意されていて、今回はガルバニウム製外付けを選択しました。

取り付け手順はこんな感じ↓

角の部分を2mmほど斜めにカットする。
自作の立ち上げ治具でつかみ代を90度折り曲げる。
桟鼻を置いて、
板金役物用ステンレスビスで固定。

桟鼻の固定は、これで完了です。

いろいろ試行錯誤した結果、外付け桟鼻の取り付けは、ビスを先に打って鼻桟を固定した後から本体を掴み込んだ方がうまくいくことがわかりました。本体のつかみが先だと、本体側に引っ張られてビスを打つのがむずくなりました。

ここからの作業は後編にまとめていきますが、まあそれにしても、ほんとよくできてますね、この嵌合式の板金屋根って。

いつから使われているのか詳しくは知りませんけど、昔の瓦棒葺きとかに比べると、めっちゃ楽に施工できるようになってるんじゃないでしょうか。

とりあえず僕みたいな素人でも何ら問題なく施工できました。

材料がホームセンターで売ってなくて、板金屋でしか買えないっていうのがちょっと残念なのですけど、ホームセンター販売を解禁したらめっちゃ売れると思うんだけどなあ。

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