初めての追掛け継ぎと、丸のこ定規の精度の話

小屋建設

いま作っている倉庫の桁の長さは約8.5mなので、5m材と4m材を組み合わせて作ることになりました。

向かいの材木屋さんに言えば10mの一本ものとかでもなんとかしてくれるとは思うのですが、納期は1年くらいかかるだろうし、価格がバカ高くなりそうなので止めました。先日届いた4m材と5m材、たった1m長いだけでも材積単価が倍近く違うので、10mはちょっと想像もできません。今度聞いてみよ。

で、2本の材を継いで使うということは、何らかの継ぎ手を設けることになるわけです。

プレカットだとほとんどが腰掛鎌継ぎっぽいし、セルフビルド界隈でも、加工が簡単という理由で腰掛鎌継ぎが多用されているみたい。

なので、やっぱ腰掛鎌継ぎかなあ、って思ってたんですが、この前土台を刻んで仮組したときに腰掛鎌継は桁には少し貧弱な感じがしたので、ここは思い切って追掛け継ぎで行くことにしました。

追掛け継といってもいろいろ派生形があるらしいのですが、代表的なものは、すべり勾配で突っ張り、栓で止める「追掛け大栓継ぎ」と、楔で突っ張り、メチで止める「金輪継ぎ」の二つ。

そんな追掛け継ぎなのですが、素人が初見でできるようなのとはちょっと違うっていうか、ぱっと見で「あ、これムズイやつだ」ってわかるやつなんですね。

なので、まあできるかできないかもわかんないわけだし、とりあえずやってみるかってことで、4寸角を使って練習してみました。

楔は使わずすべり勾配で突っ張るので、「追掛け大栓継ぎ」に近いですが、栓を打ってない、追掛けの基本形っぽい形でやってみました。栓を打つにしても、あとからドリルで穴開けて丸込栓打てばいいかなって思ったので。

ほんで、youtubeとか本とか見ながらいろいろ試行錯誤しながらできたやつがこれ。

上端に0.5mmの段差ができちゃったけど、意外と結構きれいにできたかも!

と思うのですが、如何せんなにが正解で何が欠陥なのかも不明なので、まだよくわからん(笑)

これ、上端の0.5mmの段差をなくすにはもっと叩き込めばいいのかな? 今回は余りの部分が短かかったので、これ以上叩き込んだら割れそうで、ここでやめちゃったのだけど、いい塩梅というのが全然わからん。

それとも胴付きをもうちょい削って締まりを緩くするのがいいの?

大工さんの動画とか見てると、小さ目な掛矢でコンコンやるだけで上端がそろってるっぽいんだけど、それだと経年の木痩せでのちのちの突っ張りが緩くなりそうな気もすんだよなー。

そもそも、金輪継ぎと追掛け大栓のハイブリッドみたいに勾配入り楔を打ち込んだほうが木痩せに追従できるのかも?とかも思ったりして。

まだまだ検討する余地がありそうです。(といっても、もう梁材届いちゃってるのであまり時間はないのだけど・・・)

一応、練習中に重要だと思った点をいくつか挙げておくと、

楔を使わない場合、オスメスのすべり勾配が命ってこと。

胴付きの調整が面倒なので、丸のこの調整は完ぺきにやっておけってこと。

あと墨付けのボールペンは1mm~0.35mmまで試してみましたけど、0.35mmが一番誤差が少なくてやりやすかったということ。

とりあえず、オスメス各5本ずつ練習して、全体的なコツっぽいのは何となく掴んだ気がします。

強度的な意味でいうと、追掛け継ぎの肝のところって、すべり勾配の正確さと、胴付きがぴっちりつくことなのだと思われます。しっかり突っ張って上下の加重でずれないようにするって感じ?

で、すべり勾配も胴付きも直線なので、丸のこっていう文明の利器を使えば、ある程度までなら素人でも出来るなって感じがしました。

ただし、丸のこの調整と丸のこ定規の90度がぴっちり出ていることが条件ですけどね。

今回の練習では、3セット目の練習をやってる段階でそれに気づき、丸のこ定規を新調しました。それまではフリーアングルっていう角度調整機能が付いた丸のこ定規を使ってたのですが、どんなにねじを強く締めてもちょっとぶつけたりすると角度がくるってしまって、使うたびに疑心暗鬼になっては90度をチェックするのがめんどくさすぎたので、90度のやつはそれ専用のを買おうと思ったのでした。

で、4200円(高!!!)で買ったのがコレ↓

シンワっていう、定規とかで有名なメーカーの「エルアングルフィット」っていうやつなんですけどね。。。

コイツがまさかの、めっちゃ誤差あるっていう・・・

4寸角の材料に指矩をあてて引いた線に沿って切ろうとすると、0.35mmの線幅いっぱい分の直角度の誤差がありました。(もちろん指矩をあてる面は丸のこ定規をあてる面と同じにしましたし、指矩自体も新品二本を交互に校正して使ってますので誤差はないはず)

え?、って思って、何回か線を引き直して試し切りしたんですが、やっぱり90度よりちょっと鈍角になってます。

そこで定規本体に指矩をあてると、やっぱ手元側のほうが光が透けてるんすわ。

(今、CADで測ってみると、120mmで0.35mmだと0.167度の誤差になるようです。)

おい、4200円だろおまえっ!

シンワさんよぉ、

そんなんでいいのかよおおおお!!!

と、これには我ながらめったに怒らない僕も若干切れました。

かといって、これを買ったホームセンターまでは20kmくらいあるし、返品する手間もめんどいしなあ思いまして、しばらく悩んだ結果、

本体はアルミでガイド部の板はステンレス(多分焼き入れしてないやつ)なので、砥石で研いで調整できんじゃね?って結論に達しました。

で、突き当て部分を研いでこんな感じに。

何度か研いでは試し切りしてって感じで、無事、90度は完ぺきに調整されました。

でもなあ。

そもそも定規って、「これは八分仕込みです。使う前に調整が必要です」っていう鉋とか鑿みたいな製品なわけ?違うよね?

精度が命の定規的カテゴリーの製品で、それもあのシンワの製品の精度がこれでいいのか?って思いましたよ。

DIYならまだしも、プロだったらマジ切れもんでしょこれ。。。

精度が高いから、検査落ち製品の歩留まりとか考慮した上で、4200円っていう割と高めな価格設定で出してるんだよね?

こっちは、それを信用して、その精度にたいして対価払ってるのですよ。

もうちょい検査とかちゃんとしてから出荷してほしいもんです。

100歩譲って、検査を適当にするのなら、せめてパッケージされた状態で指矩あててチェックできるようにしてほしいですね。僕が買ったときは、店にあった指金を拝借してチェックしようとしましたけど、指矩とパッケージが干渉してうまくチェックできなかったので。

まあ文句はこの辺にして、

追掛け継ぎっていう継ぎ手は、墨線の左・右・真ん中のどこを切るかっていうレベルの精密さは要求されます。そこをいい加減にすると、あとで胴付きとかすべり勾配を調整するのが面倒なので、最初から一発で決めるほうが楽なのです。

これは別にそんなに難しいことじゃないし、定規とか丸のこがちゃんとしてれば素人でも出来ると思います。

5セット分練習してそんな風に思いました。

今回は運悪くはずれの定規引いちゃったけど、そういうのも含めて練習しといてよかったです。

まあ、次に定規系の何かを買うときはしつこいぐらいチェックしてから買おうと心に決めたのは言うまでもありませんが。

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