立平ロック施行記録の前編では、桟鼻の取り付けのところまでを記録しました。
ここからはその続きです。
桟鼻の取り付けの後は、本体の軒先端部を唐草につかみ込んで固定する工程です。
三寸勾配の軒先での慣れない板金作業でしたが、一応、命綱は装着していたためそんなに恐怖感は覚えず、作業自体は割とスムーズに進みました。
また、本体をビス止めした後、、自作治具を用いて軽く折った筋がつかみ込みのガイドとなるので、思っていたより簡単に、きれいにまっすぐに端部を折り込むことができました。
後はこの繰り返しを片面27枚×二面分、繰り返しの流れ作業です。
数枚分を終えて工程の流れを把握した後は、無心に、淡々と、同じ作業を繰り返すだけ。
立平ロック施行が初体験の僕でもこうなのだから、本職の人はほんとあっという間に葺き終わるだろうなーという印象です。
墨線の意味はあまりなかった
今回の屋根施工では、板金屋の職人さんの教えを忠実に守り、まず最初に立平ロック本体一枚ずつの墨を出していました。
正直、うわーめんどくせーって思いながらも、27枚分×南北2面の墨を白マーカーで書いたのです。
が、
結果から言うと、この墨線、ほとんど役に立たなかったです。
というのも、立平ロックの寸法精度がめっちゃ高いので、特になにも考えずに張っていっても、墨線の角度に対して大きなズレが生じることがほぼなかったのです。(桁行9m強、立平ロック本体27枚分で蓄積されたズレでも、5mmいくかいかないくらいでした)
さすが現代の工業製品!!
ていうか逆に、もしもずれてきた場合にどのように修正していくのでしょうかね?ビスの打つ角度を変えるなどして、本体1枚につき1mm弱ずつくらいなら修正が利きそうでしたけと、そういうやり方でいいのかな?この点は職人さんに聞きそびれてしまいよく分かりません。今度聞いてみよう。
ま、今回は結果的に墨がいらなかったとはいえ、墨がちゃんとあるのとないのでは、施工時の安心感が全然違うだろうなとは感じましたので、もし次回施工する機会があっても、墨出しはしようと思いました。(墨の本数は3枚おきくらいに減らすだろうけど)
切妻の両側とも「右から左」の葺き順にしたのはよくなかったかも
今回、材料発注の打ち合わせの段階で、板金屋さんから、
「葺く方向はどうする?南側も北側も右から左でいいかな?」
と聞かれて、特に何も考えず、「あ、はい、それでいいっす」って答えてしまったのですけど、これはあとから考えるとに失敗でした。
というのも、どちらも「右から左」にすると、切妻の南側は「東から西」、北側は「西から東」という風に、葺き始めの方角がそろわなくなってしまうからなのです。
すると、本体の嵌合部が屋根の南側と北側で若干ずれてしまうのでした。
当然、墨をする段階で、これを見越して墨付けしてはいたはずなんだけど、27枚分の寸法誤差によりこうなってしまったようです。
上に書いたように、立平ロックは平行方向の精度は抜群で、張っていくうちにだんだんと斜めになっていくようなことはほぼないのですが、平行を保ったままワイド方向の総延長に蓄積されていく寸法誤差は少しあるようで、今回の場合、27枚で1センチ強の誤差が出ました。
上の写真でいうと、写真奥が西から東の葺き始め、手前側が東から西の葺き終わりの部分で、誤差が1センチ強って感じ。
材料を発注する段階で、南面も北面もどちらも「西から東」の葺き順で頼んでおけば、誤差はこんなに大きくはならなかったはずなのですが、葺き方向の左右を統一した方が楽じゃない?っていう素人考えで葺き順をすべて同じにしたのが裏目に出ました。
まあ、このずれが屋根の性能に関係するわけでもなく、1センチのずれなど、地上から見たら絶対にわからないレベルなので、全く問題はないのですけど、プロはこのあたりどう処理しているのかが気になりました。やはり「南北どちらの妻面も西から東で葺く」などと統一しているのでしょうかね?
エプロン面戸→棟包み装着で屋根完成
本体を施工したら、すでに打ち付けてある棟部の桟木の上に棟請け板(90mm×15mm)を打ち付け、さらにその棟請け板にエプロン面戸という雨水吹込みを防ぐ板金部材をビス止めしていきます。
断面図はこんな感じ↓
このマニュアルを見る限り、エプロン面戸に加えて「ウレタン面戸」という防水材を施工するのがメーカーの仕様なようですが、今回は板金屋さんの判断でウレタン面戸は省きました。
素人の僕の見た感じなのであれですが、勾配は3寸もあるし、八千代折り+エプロン面戸の二重ガードを掻い潜って水が入ることはまずないだろうと思われますので、ウレタン面戸はなくて大丈夫でしょう。(内心ちょっと不安だけど・・・)
で、エプロン面戸を取り付けた後は、板金工事の最後の仕上げとなる棟包みの装着となります。
棟包みの装着は簡単で、地上にて端部の折り込み加工をしたのち、装着&ビス止めをするだけです。
棟包み板金の重ね代は150mm以上取り、重ね部にはこれでもかというくらいコーキングを盛りまくりました。
継ぎ目のとこはコーキングガンで盛っただけなので見た目は汚いですが、見えるとこではないのでまあ良しとします。ここは数年に一回ほど点検してコーキングを打ち直してもいいかもと思っています。
あと、棟包みの端部の納めについては、素人流に適当に折り込んでみただけで、正直全然きれいじゃないです(笑)
アップでは見せられたものではないので、後日下から撮った引きの写真で勘弁↓
そんなこんなで、作業が終わったころにはもう夕暮れ。
天気予報によると、この日の夜から台風もどきみたいな雲の塊が来て大雨になるらしいので、ギリギリのタイミングで施工完了となりました。
いやー、我ながらよくここまでやったなーと。
屋根が葺けたことで一気に気が抜けたというか、めっちゃ気が楽になった気がします。
ここからは天気を気にせず、マイペースで作業を進められますからね。
板金の施工に関しては、技術的には思っていたより難しくはなく、切断にグラインダーを使ったこともあり体力的にもそんなにきつくはなかったです。
ただし、50枚強の板金を切断し端部の加工をするのは、精神的に結構疲れました。仕事でやってるわけではないのに、仕事してる感がすごかった(笑)
あとはまあ・・・梅雨明けの炎天下でやる作業ではないですね。屋根工事。
熱中症的な意味でもそうなのですが、炎天下のガルバを何十枚も触ったことで、指が軽くやけどみたいになってましたもん。いや冗談じゃなく。まじで。
是非、秋とか冬にやりたい作業でした。
まあそういう教訓などを含めて、いろいろと勉強になりました。失敗したとこやああすればよかったというとことかもいろいろあるけど、なんといっても、板金で屋根が葺けるというスキルと、材料確保ルートを確立できたのは大きな収穫でした。
薪小屋とか農機具倉庫とか、これから建てたいものはまだまだいろいろあるのだけど、次は横葺きガルバにしようかなーとか、今から妄想が膨らんでいます。
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