前に紹介した大入れルーターは、現在刻んでいる柱の加工でも絶賛活躍中です。
ほんと、これがなかったらめっちゃ時間かかってると思うわ。
例えばこんな仕口とか、速さと加工精度が素人の手作業とは比較にならないほどいいです↓
今回の倉庫、四つの角はすべて「蟻落とし」という仕口で組みます。
上の写真のやつはその仕口のメス側、柱の方の蟻です。
これ、鑿で刻んでもできないことはないんだけど、角の鋭角になったところがクッソやりづらいし、この角度を維持しながら深さも一定にするっていうのが難易度高すぎるのです。
加工精度にしても、ゆるゆるだと抜けやすそうだし、きついと柱割れそうだし。ちょうどいい感じにするのに何回も調整する必要があります。手作業だと。
が、大入れルーターの蟻ビット側を使えば、もう一瞬です。
いや、一瞬は言い過ぎか。最後の5mmの角のところは鑿でやる必要があるからなあ。
まあそれでも、ルーターで掘った側面がガイドになるので、一から鑿でやるより断然楽で正確なのです。
ただ、この技を使うにはひとつ条件があって、それは、
仕口から下の余りの部分が14cm以上必要ってこと。
余りの部分がないと大入れルーターが乗らないんだよね。
だが、そんなに都合よく余りがあるはずもなく、特に今回の倉庫の場合、土台下端からホゾの先っちょまで4020mm、つまり4m材の余りの部分を入れてギリ足りるくらいの寸法でして、14cmも余白のある材料は4本のうち一本だけでした。
じゃあ余りが足りないときは出来ないのか?というと、ちょっと面倒ですけど、こうすればできます↓
間柱材みたいな適度な厚さの板を柱の両側にビスでくっつけて、大入れルーターが乗るための余りを作り出してやればいいのです。
これなら、余りは2cmくらいあれば足ります。
試作で実験した結果、ビスは3本で大丈夫でした。
ただ、間柱材は手押し鉋で側面をまっすぐにしておく必要があって、さらに、ビス止めの際には柱の面と間柱材の側面を完全に面一にしなければなりません。そうしないと大入れルーターが傾いて仕口の深さが変わってしまうので。
それと、間柱材の個体差によって、長手方向には若干(0.5mm/120mm)くらいの誤差が発生するときがあるので、ルーターはゆっくり操作し、常に墨線を目視しながらビットを動かした方がいいみたい。
それらの点さえ注意すれば、深さ一定、角度一定の蟻溝が掘れます。
ほんと、想像してた以上に、きれいに蟻落としのメスができますからね。
蟻落としって、玄関とか角とか、土台の木口を出したくないとこには最適な仕口だと思うんですよ。
師匠曰く、「上方向への引き抜きにはほぼ抵抗できないからあんまり使わない」らしいですけど、今回の倉庫の場合、蟻落としの柱はすべて16mmホールダウンアンカーで束縛しますので、引き抜きは考えなくていいし、これ以外の選択肢は無かったかな。
個人的に、土台の角の木口が出てるのって、足とかぶつけそうで怖いし、かといってはみ出しを少なくすると割れそうで怖いんですよね。なんか見た目もすっきりしてない気がするし。
今回、倉庫の刻みで、大入れルーターでの高精度な蟻の加工が可能なことが判明したので、家の方の構造にもこの仕口を大いに取り入れていこうと思ってます。
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