粗挽き製材されたヒノキを4寸柱にする修行・・・

小屋建設

現在建設中の倉庫と、その後で建てる予定の家の部材は、梁・桁などの背の大きい横架材などを除きすべて、廃業した近所の材木屋のデットストックを使います。

30万で使い放題という超良心的な価格でゲットできたので、ここはもうまったく躊躇なく、潔く使い倒す所存です。

で、潔くってのはどのくらいかっていうと、

柱&土台は基本的にすべて4寸角のヒノキ。

倉庫の壁は板倉作りとして、30mmの板を落とし込む。

窓枠とかは柾目のピーラーみたいなやつで統一。

床は50mmの杉を45mm位に削って作る。

って感じ。

まあとにかく贅沢に無垢の木を使っていく予定です。なんせ定額なので。

ただ、この定額契約、一つだけ問題がありまして、ここの材木たちは基本的に粗挽きのまま屋根つき自然乾燥で放置されてました。

4寸角柱用は140㎜角くらいで、一枚板は耳付きで。

もちろんプレーナーはかかってない!!!

普通、材木屋に4寸角の柱を注文すると、4寸角+軽い削りしろくらいで出してくれます。さらにプラス1万円/立米くらい払うと、4面プレーナーをかけてほぼ完全に寸法と直角が出た状態で届けてくれるんです。

が、今回のデットストックの場合、その工程の前段階の状態のままで保管されてましたので、墨付けをする前にまず、反りを取って直角を出して寸法通りに分決めしないといけないのです。

俗にいう材の加工ってやつ。

(まあ140㎜で保管されてたおかげで、今削りなおして4寸角が採れるのですけどね。廃業から14年間の長きにわたって保管されてる間に、だいぶ反ったりねじれたりしてるっぽいので)

そんで、その加工の作業がクッソ大変なのです。

もはや修行。

まず、材木屋から材をひっぱり出して軽トラに載せ、それをうちでおろすのだけど、ここからしてまあ大変なんですね。

10年以上乾燥してるとはいえ、4m×140㎜角のヒノキは結構重いのです。比重で計算すると32kg位なのだけど、持った感じもっと重いんじゃねって気がしてます。

そんで、当然のことながら軽トラの荷台部分だけじゃ収まらないので、この重い材を斜めに載せるわけ。。。

これはもう「ファイトおおおおお!!一発っっ!!」て脳内再生されるレベルの作業なのです。

で、その次はこの材をまた一本ずつおろして、馬に乗せて、目見で反りとかねじれを確認していきます。

粗挽きしたまんまの天然乾燥10年なので、ほぼすべての材に最低でも5mm位の反りはあるし、酷いのは一回右に沿ってまた左に反ってみたりと、ちょっと意味の分からないことになってます。

また、反りにプラスしてねじれがあるやつも7本に1本くらいあって、そうなると変形が3次元になってるので、もはや完全に理解不能。

まあとにかく一本一本が個性的なのです。

そんな個性的な木たちは、 当然そのまんまじゃ使えない状態なので、際に墨を打って、削って、まっすぐな角材にします。

手順は次の通り。

際に墨付けして、電気カンナで大まかに削る

凹んでる面の際に墨付け
電気カンナで削る

この段階の削り作業は、大きなねじれや反りを取るだけなので、墨を目安に電気カンナで大雑把に削ります。

基本的に凹んでる面を平らにして、膨らんでる面は後で自動カンナで削るのが良いようです。なので、こうして電気カンナをかけるのは隣接した2面(凹んでる側)だけで大丈夫。

ちなみに、この電気カンナは1年落ちの中古でほとんど使われてないやつを地元の機械屋で15000円でゲットしました。ほぼ新品ですこぶる快調です。

それなりに重くて音がうるさいのですが、2mm位は一度に削れますし、最大幅は155mmまでいけます。荒削りには最高の機械です。

前のオーナー、なぜ買ったし・・・

手押しカンナでむら取り&直角出し

電気カンナで墨線±2mm位までの反り取りをした材は、次に手押しカンナという機械にかけていきます。

作業手順としては、

まず第一基準面を定盤に押し付けながら削って平らにして、次にその第一基準面をフェンスに押し付けながら第二基準面を削り、2面の直角&平面出しをするって感じ。

言葉だと簡単そうですが、材が長くて重いので結構大変です。

少しでも滑りをよくするために、定盤とフェンスにシリコンスプレーを吹きながらやってますが、それでもかなり力を使います。

16本の柱を削った後で得た教訓としては、電気カンナの荒削りの段階である程度まっすぐにしておいた方いいってことくらいですかね。あとはまあ、、、

気合で乗り切れ!って感じ。

「あと10本か・・・」とか考えずに、目の前の一本に集中するのみ。

ちなみに、この手押しカンナ、機種はマキタの2034という現行モデルで、セルフビルド用に買った機械の中では今のところ一番高いです。(リョービの補助ローラー×2込みで20万でした。新品だと70万くらい。)

100v電源ですが、4寸角のヒノキくらいなら結構バリバリ削っていきますし、補助ローラーの調整をちゃんとすれば4m材もピッチリまっすぐ&直角になります。(水平なコンクリート土場があればローラー調整がもっと楽になるはず。早く倉庫の土間を打ちたい!)

この機械は今後の家つくりで造作材の木取りにも使う予定。その後はセルフビルドが終わった後でDIYの強い味方として余生を全うさせます。

自動カンナで分決め

この材、何気に4面無節なんです・・・

ここまでの工程で、電気カンナで荒削りして、手押しカンナで隣接した二面を削り、二つの平面と一つの直角ができました。

次は、これを同じマキタ2034の左側に搭載された自動カンナという機械に通していきます。

この機械は、下の定盤と上のカンナの刃が平行になっているので、隣接した平らな基準面二つと直角が一つあれば、その基準面の反対の面を削ることで、最終的に断面が真四角の直方体が作れるっていう機械。

つまり、このマキタ2034があれば、その辺の丸太をチェーンソーで適当に縦挽きして作ったなんとなく板っぽい形の物体とかも、「手押し→自動」の工程を経ることで、完全な直方体にできるのです。

ただ、100v電源で少し非力なため、一度に削れる厚さはヒノキの4寸角なら3~4mmが限界。

いまんとこ、3mmくらいでもけっこう負担が大きそうな気がしてるので、機械を長持ちさせるために2mmくらいで使ってます。

それでも、かける回数を増やせば問題なく寸法が出ます。

まあ重さ30kg長さ4mの棒を何回も自動カンナにかけるのはそれだけでわりと修行なのですが、すでに直角と平面が出てる材を機械に投入するだけなので、手押しの段階よりはだいぶ楽です。

寸法は基本的に120×120mmにしましたが、四隅の柱は出来るだけ太くしたかったので130mm角とか127mm角とかにしました。建物の構造が単純なので、柱の太さに応じて図面に少し手を加える予定。

あとこれは補足情報ですが、この機械は本体のローラーの銜え込みが結構きついため、補助ローラーの高さ調整をうまくやらないと「鼻落ち」が出ます。といっても、鼻落ちするところはのちのちホゾになって切り取ってしまうので全然問題ないですが。むしろこのくらい強く銜え込んでくれないと構造材の加工はできないかもと思いますし。

16本の柱材、完成する。

いっちょまえに番付つけてみた。

慣れてないせいもあるとは思うのですが、倉庫建築に使う用の4m材×16本を加工するのに丸々三日費やしました。

一日5、6本。

少ねえ。。。

いやでも、4m材の140mm角って、想像以上に重いから。

削ってる時もそうだけど、軽トラに乗せたりとか移動させたりとか、そういうのがいちいち地味にHPを削ってくるんですよね。

だから5本くらいで、

「よし、今日はこれにて終了っ!お茶にしよっ!」

ってなっちゃうw我ながらヘタレw

加工した材を並べて転がして番付振って移動するのだけでも3時間くらいかかったし、今の大工さんが人工乾燥&プレカットにシフトしてる理由が大いにわかりました。

逆に、もっと大昔の大工たちって自動カンナも電気カンナも使わずにこの作業やってたのかーとか思って、現代人の貧弱さを思い知らされました。

手鉋だけでこの量の木くず出すのに何日かかんだよってレベルですもん。

16本の柱だけで木くずが3立米くらい出た。

まあでも、自分の労働力と引き換えに最高の乾燥状態の木をかなり安くゲットしたわけで、もうちょい作業に慣れてくれば、労働の大変さを価格の安さが上回ってくるはずです。

今作ってる倉庫は、土蔵の構造を参考にして設計したので4mの通し柱だけど、家の方の柱はすべて3m材で、その点ではもっと楽になるだろうし。

今はひたすらに削るのみ!

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