このまえとか、
「大掛け金輪継ぎ習得した!!」
とかドヤってますけど、僕、いままで建築業界とは一ミリもかすらないまま30年生きてきました。
このブログのセルフビルド日記は、完全なる建築素人が調子に乗って知ったかぶりなことを書いているだけの駄文なのです。
ただ、一つだけ、これだけはプロレベル(自称だけど)っていうのがあります。
それは、「研ぎ」
鑿とか鉋とかの。
自称だけど、僕、研ぎに関しては本職レベルだと思ってるし、今のところ、刃物の切れ味が刻み作業の障害になってる感じは全くしていません。
むしろ、中古品で集めた鑿や鉋(本職が手放したやつ)に対して、「おいおい、これ使ってた大工、研ぎ下手すぎだろ」って思っちゃうレベルには到達してます。(そもそも研ぎが下手だから手道具を手放した?っていう可能性も感じるくらい、中古の大工道具はガッタガタなことが多いです。)
少なくとも、批判を恐れずにこんなビッグマウスなことをここで書いちゃうぐらいには、自信があるんですよね。
で、なんで研ぎだけは出来んのかというと、
僕、高校生の時、豆腐屋でバイトしてたんですけど、そこで店長に包丁の研ぎを教わって、それ以来、実家の包丁とか研いで遊んでたんです。今思うと、その時から研ぎの世界に片足突っ込んでました。
で、大学の時、たまたま友人が木工彫刻の有名な先生のゼミに所属していて、僕はそこのゼミとは全く違う専門だったんですけど、ちょくちょくそこのゼミに遊びに行って、鑿とか鉋の研ぎを教わったんですよね。
それ以来、別に何に使うでもないのですけど、骨董市とかリサイクルショップとかでサビサビの大工道具買ったりして、それを無駄に研ぐのが趣味みたくなっていたのです。
といっても、天然砥石!とか、鉋で何ミクロン!!みたいな、「研ぎガチ勢」を目指してたわけではなく、ごくごく普通にしのぎの平面維持と裏をしっかり出すっていうレベルなんですけど。
それでも、大工道具の研ぎって奥が深くて、まずその平面維持が結構難しいんですね。角度の維持も意識しないとだんだん浅くなったりするし。左右の力加減で片減りもするし。
体感的には包丁の研ぎの10倍ぐらい難しいような気がします。
まあ、それがゲームのレベル上げみたいではまっちゃうんですけどね。
なんっつうか、意識が手に伝わって、それが研ぎの結果になって見えてくる感覚が病みつきなのですよ。
最近はもはや、平面がちゃんと出て風景がゆがみなく映ってるしのぎ面を眺めるてるだけでなんかにやにやしちゃってるし(変態かよ。。。)
そんで、これは思わぬ副作用なのですけど、大工道具の研ぎに慣れて、砥石の平面を異常に気にする習慣がつくと、包丁研ぎもかなり上達するっつーか、めっちゃ時間短縮になるんですよ。平面が完ぺきに出た砥石だと、普通の牛刀包丁レベルならすぐ刃がつくかんね。
何を研ぐにしても、砥石の平面は超絶重要。
そのことに体感的に気づけるってだけでも、大工道具の研ぎを練習する価値はあります。絶対に。
砥石のラインナップはこんな感じ
僕の研ぎに対するスタンスは、
大工道具なら、普通によく切れて、鎬の平面と裏がちゃんと維持されてればいい。早けりゃなお良し。
って感じ。
なので、使う砥石はシンプルに3種類。
電着ダイヤモンド砥石と、刃の黒幕っていうセラミック砥石の2000番と5000番。これだけです。
ダイヤモンド砥石は、150番と600番の番手で、刃こぼれしたときの荒砥ぎと砥石の面直しに使います。
面直しに関しては、いちおう修正砥石っていう専用の砥石も持ってはいますけど、その修正砥石自体が結構すぐ削れてくるっていう現象を発見してからはあまり使っていません。今はダイヤモンド砥石一択な感じ。
刃の黒幕は、研ぎの世界ではみんな知ってる超定番。らしい。
僕は大学の時に例の先生のやつを使わせてもらって、
「ええ...何この硬くて薄い砥石、2000番なのにめっちゃ研げるんですけど(困惑)」
って驚愕して、すぐに2000番(緑)と5000番(紫)を買いそろえました。
当時まだキングの赤レンガ砥石くらいしか使ったことがなかった僕にとっては、硬いのにめっちゃ研げるこの謎の砥石は衝撃でしたねー。
で、当時買った2000番はすでに1本使い切って、これが2本目なんだけど、これももう半分くらいにまですり減ったので、そろそろ新しいのを買って接着しといてもいいかもと思ってます。2000番は結構ガシガシ使うから、すぐすり減っちゃうんだよなー。
5000番は仕上げに使うだけで意外とすり減らないので、まだ最初に買ったやつを使ってます。(でも去年、干してるのを猫が落として割ったので短くなってちょっと使いづらいのだが)
今のところ、ダイヤモンド砥石→刃の黒幕2000→刃の黒幕5000で全然満足してます。
もしこれ以上切れるようになる砥石があったとしても、別にいらないかなって感じ。
そんなに切れても、僕の大工の腕の方が追い付かねーよって感じだし。
2000番と5000番でも、平面修正をちゃんとして、砥石と刃物が引っ付く感覚で研げば、素人セルフビルドには十分すぎる切れ味だからね。
そういいつつ、ふと気づくと、アマゾンのカートに刃の黒幕8000番とか、エビダイヤモンド1000番とか入ってたりすんだけどね(笑)
ま、まあ、あれだから。
研ぎってほら、いわゆる沼だからさ。はまったらもう抜け出せないわけ。
それに、まだポチる直前でカートから削除してるからセーフwww
・・・だろ?
砥石の平面は異常に気にするべし
上述の木工の先生に鉋とか鑿の研ぎを初めて教わった時、僕が一番驚いたのは、
「え、嘘だろ?そんなに頻繁に面直しすんの?!」
ってこと。
包丁研ぎをちょっと齧ったくらいの当時の僕にとって、砥石の平面は、5本くらい研いで、目視でもなんとなくゆがみがわかるぐらいになって、やっと修正するかーぐらいの感覚だったんですね。
でも、大工道具を研ぐ場合、
最低でも1本研いだら修正。裏を研ぐ前は絶対修正。
目視じゃわからないレベルのゆがみも許されない。
砥石はもはや消耗品。
そんなレベルなわけ。
これはめっちゃ衝撃でした。
でもね、これをちゃんと守るだけで、結構すぐにコツがわかるようになるんですよね。
砥石の平面と刃物のしのぎの平面がべったり密着してる感じっつーのかな。
よく、鉋が砥石に立ってる技とかありますけど、アレです。
アレ状態もしくはアレに近い状態になると、独特の感覚がわかるんですよ。
でもアレは別にそれほど難しくないし、素人の僕でも出来ます。むしろ、アレ状態にできるぐらいに砥石の平面を維持し続けるっていうのが、大工道具を研ぐためのコツなような気がします。
ほんと、砥石が歪んでると、いつまでも研いでても全然うまく研げないんですよねこれが。
もうね、ほんのちょっと歪んでるだけでも、「ズズズッ」って滑るみたいになって砥石との密着感が失われるかんね。
そんで、刃の黒幕っていう割と硬い砥石でも、鑿一本研ぐだけでその”ほんのちょっとの歪み”は発生してて、それが次の一本の研ぎに結構影響するから、一本研いだらさっとダイヤモンド砥石で擦って修正する必要があるの。
僕も先生の砥石借りてた時は、よく、
「使ったら毎回修正しといて。次の使う人が困るから」
って、チクチク言われたなー。
あの頃は、
「へっ、たかが砥石の平面に、神経質すぎんだろ・・・」ムスッ
って思ってましたけど、今思うと、あれぐらい神経質になってちょうどいいんだよな。マジで。
初心者の時は特に。
それを叩き込んでくれた先生には感謝しないとなー。
僕、別に先生のゼミ生でも何でもなかったのにねwただ遊びに来て邪魔してただけなのにねwwまじでありがとうござしたーwww
とまあ、そんなわけで、
セルフビルド界隈だと何かと敬遠されがちな手道具なんだけど、僕みたいな素人でも、それなりに研げるようになるよーっていう話でした。
ただし、平面維持は異常に気にするべし。
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