先週は「来週から柱だー!」とか言ってましたが、未刻みの材木にかけたブルーシートをはがすと、
「あ、桁(下梁)がまだじゃん」ってことに気づきました。
ってことで、今週は桁(下梁)の刻みです。
桁の素材は杉で、材木屋さんにて寸法通りに4面プレーナー済み。
倉庫小屋の構造は基本910mmピッチで柱が入る(一部1820mmピッチ)ので、桁の背は180mmとかでも全然大丈夫なのですけども、4m材を通し柱にして無理やり二階建てにする関係上、二階の天井高を少しでも稼ぐために、八寸(240mm)にすることにしました。今回は桁(下梁)通しの渡り顎を採用したため、桁の背が高ければ高いほど天井も高くできるっつーわけ。
桁の総延長は約8.5m。
8.5mを一本の材でどうこうするのは無理なので、4m材と5m材を継ぐことになりました。
で、継ぎ手を何にしよっかなーっていろいろ検討した結果、腰掛鎌継は強度がちょっと低そうだよねってことで、「追っ掛け継で行くこととする!!」っていう素人としてはだいぶ難易度高めな方向で脳内閣議決定を下したのでした。
そんで、いろいろ練習した結果、正統派金輪継ぎはメチの加工が難易度高すぎるし、追っ掛け大栓継は材が重いと微調整が鬼面倒っていうことが途中で判明しまして、両者のいいとこどりをしたハイブリッド継ぎ手を採用することにしました。
その名も「追っ掛け金輪」(正式名称なのかは知らん)
金輪継ぎの楔と、追っ掛け大栓継ぎの込み栓をつまみ食いしたような形で、突っ張りは楔で行い、上下のずれは栓で留める感じです。
これ、素人考えながら、すべり勾配で突っ張る追っ掛け大栓継より締まるんじゃないかなーと思います。
練習したときの感触だと、追っ掛け大栓のすべり勾配は木口同士だから摩擦で結構止まっちゃう気がするんですよ。上から滑り込ませるので、胴付き部分にも摩擦が発生するしね。その摩擦を避けようとすると若干締まりが足りなくなる感じ。逆にきつく作ると上端がなかなかそろわないし、微調整で外すのもきつくて大変。練習用の柱材ならまだいいけど、重いやつだと特に大変だと思う。
その点、楔だどヌルヌル入って行ってどんどん締めていく感があるし、胴付きに上下方向の摩擦が起きないので、すんごい締まる感じがします。
それと、この方式だと楔を抜けば材同士を横から外せるので、仮組と微調整がすごい楽なの。 これは、男一人+彼女(そんなに力がない)で行うセルフビルドにとって割と重要なのです。上から入れて、締めたらなかなか外せない追っ掛け大栓じゃこうもいかんからね。
いやーそれにしても、
我ながら、もはや完全に追っ掛け継を習得したといっても過言ではない完成度。
完全に匠。
マジ神。マジ卍。
・・・
とか自画自賛してますけど、
今季一番の集中力を発揮して作ったので、すっごい時間かかったし、今すごく眠い(笑)
それに実をいうと、この継ぎ手、途中まで普通に追っ掛け大栓で行こうとして(ええ、楔を作んのが面倒に感じたのですよ)、片側を刻んだ後で、「これ材の重さがやばい。ちゃんと微調整できんのか、俺?」ってことに気づき、「やっぱ、楔を使う追っ掛け金輪に変更しよー」 ってなり、楔穴の位置を後から調整したため、楔の位置が芯じゃないし(笑)
こことか、4回も修正してやっとこさ胴付きがぴっちりな感じになったし↓
これでも、普通のコピー用紙は刺さるとこあるんだよなー。
プロなら、経験と勘でコピー用紙一枚も入らないほどにピタッとできるんだろうけど、
「いいや、もうこれで完成とする!楔を本気締めすれば大丈夫っしょ!」
ってなっちゃうのが素人の証なのである(笑)
ちなみに、今回の継ぎ手の長さは50cm。この材の背の約二倍です。
ほんとはもっと長い方がいいのかもしれませんが、定尺材の長さがかなりギリギリなことと、指矩の長さ的に50cmが最長なので、この寸法になりました。
勾配定規は絶対に作るべし
今回、いろいろ練習とか試行錯誤とかして、素人ながら追っ掛け継ぎを攻略するためのコツとかを発見しました。
なかでも、最も便利なアイテムは、コレ↓
今回、練習の時は、youtubeで職業訓練校の授業風景っぽい追っ掛大栓のレクチャー動画がありまして、ほぼそれを教科書にして練習してました。
それを見る限り、すべり勾配は「上端の芯から何分」みたいな感じで墨付けしてたので、僕も最初はそうやって練習してたんですけど、どうも勾配がうまくいかないんすよね。なんか微妙なの。
で、それを向かいの材木屋さんの倉庫で刻んでる大工さん(以後師匠と呼ぶ)に相談したところ、
「ベニヤで勾配の定規作るといいよ。あと金輪の場合、くさびのとこも勾配入れるといいで!」
っていうアドバイスをもらいまして、実際に作ってみると、これがなかなかどうして、めっちゃいい!!
今回は金輪の要素を取り入れたのですべり勾配じゃなくて楔ですけど、楔を作る時にもこの定規を使って勾配を出しました。そうすると、継ぎ手の勾配と楔の勾配がぴっちり同じなので、すっげー気持ちよく締まんのね。
ちなみに、20分の1勾配の楔なんて売っていないので、自作です。
素材は去年薪用にゲットした樫の木で。
こんなこともあろうかと、太い樫はチェーンソーで製材して干しておいたのですよ。ふふっ。
あ、それと、勾配定規は、上端の面に当てがって墨付けし、丸のこ定規として使うときも同じく上端基準で使います。
てか、指矩も定規も今回はすべて上端基準です。
8寸も背があると、さすがの4面モルダー済み材でも若干の誤差が出るので、最初から上端を基準にする!っていう風に決めてしまった方がいいみたい。(これも師匠の教え)
いやー、今こうして考えると、師匠に聞いといてほんとよかった。
師匠マジ感謝だわ。
夏に枝豆とか持ってお礼しに行こ。
※追記
後日談になりますが、建前の時、この部材を地上で継いでから吊り上げてみて、追っかけ金輪最強説が証明された気がしました↓
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