ヒマワリの種(鳥の餌用)を緑肥として使ってみる② 花は綺麗!・・・だけど、不稔株が20%くらい出た

畑のいろいろ

昨年の冬に、庭にやってくるシジュウカラのために300円/kgで購入したカナダ産ヒマワリの種の余りを、今年の夏に緑肥として畑に播いてみたところ、意外にもめっちゃびっしり発芽して、勢いも結構よくて、緑肥としてのポテンシャル(主にコスト的な意味で)を実感しました。

というのが、ヒマワリの種(鳥の餌用)を緑肥として使ってみる①

で書いたことなのですけど、

あれからひと月半が経過した8月の中下旬ごろ、花が満開を迎えました。

僕の事前予想としては、「飼料用ひまわりの花なんてちんちくりんなのしかできないんじゃね?」って感じであまり期待はしてなかったのだけど、意外や意外、なかなか綺麗で大きな花が咲きました。


花の直径は10~20cmで、背丈は2mいかないくらい。

発芽率が予想をはるかに上回ったにもかかわらず、間引きはほぼしなかったため、株間は極めて狭い10cm内外でしたけど、倒伏している株はほとんどなかったです。

今年の超絶日照不足な条件の中で、ここまでの耐倒伏性を発揮したのはかなり優秀だなーって思いましたね。

この綺麗さと倒伏しにくさは、景観用としても十分すぎます。

来年からうちで使うヒマワリは、ここから自家採種したもので全然問題なさそうです!

全体の20%の花が不稔っぽい

さて、花の綺麗さとかコスパとか緑肥としての扱いやすさとか、もろもろを考えてみても、このヒマワリは飼料用として唾棄するのにはもったいないほどいい品種?だったのですけど、一つだけ気になることというか、興味深いことがありました。

それは、

約20%の個体が不稔、つまり、花粉が形成されない性質を持っているっぽい

ということです。

実際の写真はこんな感じ↓

上の二枚が正常な花、下の二枚がおしべが不稔の花です。

正常
正常
不稔
不稔

下の二枚を見るとわかる通り、不稔株は花粉が全く出てないのですよ。

ヒマワリの花は、花弁で囲まれた内側の円の部分におしべとめしべが併存してて(両性花)、おしべは円の外側から内側に向かって熟していき、花粉を出し切った後のおしべは、二つにはじけてその役目を終えます。

4枚目の写真でいうと、内側の黒っぽいおしべが、まだはじけていない新鮮なおしべなのですけどね、そこに花粉が全くついてないのです。また、外側のはじけたところにも花粉の痕跡がないですし、どうやらこれは雄性不稔株のようです。

ざっとみたところでは、このような雄性不稔株が全体の20%強くらいはある感じ。

つまり、5本のうち1~2本は雄性不稔株っぽい。

・・・

その事実から導き出される結論は、

この鳥の餌用ヒマワリの種は、雄性不稔を利用したF1品種のF2だった

ということだと思われます。

雄性不稔の仕組みを語るにはわりと長文が必要なので今回は省略しますが、一般的な細胞質雄性不稔F1品種の場合、F2の形質の正常:不稔の割合は3:1になるのですよね。(高校の生物てきに言うと“分離の法則”というやつです。)

正確に数えていないのであれですけど、今回、うちの畑でもだいたいそのような割合で不稔株が発生していましたので、この結論は間違ってはいないはず。

となると、

「え、雄性不稔って、あの無精子症で不妊で種なしのやばいヤツ?」っていう風な流れに行きがちなんだけど、僕はあまりそういう風には思わないのですよね。

というのも、この雄性不稔株、全く種ができないわけじゃなくて、虫によって運ばれてきた隣の正常株の花粉で受粉し、種を実らすことができるから。

ていうか、極端な話、雄性不稔で花粉が作れなくなった個体って、それ、ただのメスなんじゃね?とすら思うのです。

そう考えると、他者から花粉をもらわないと種ができない不稔株は遺伝子の多様性の点で正常株よりも勝るのかなーなんて思ったりもします。

  

さらに、

これは僕ら人間の勝手な都合なのですけどね、

雄性不稔株の花粉ができない性質って、切り花にすごく向いてるんですよ!

ヒマワリの花って、結構大量の花粉が出るので、切り花にしてしばらく活けておくと、花瓶の下に黄色の花粉が落ちて汚れるのだけど、それがないのが地味に助かります。

なので、

今後、このヒマワリを自家採種していく中で、不稔株を引っこ抜くなどの選抜は特にせず、不稔遺伝子の割合は自然のままに任せておこうと思っています。

種採り株の母数が数百あれば、集団のなかの不稔核遺伝子の割合は50%のまま変わらなそうだしね。

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